2009年6月16日火曜日

「文部省の実学志向が、若者の内向き現象を生み出した」(鹿島茂)

先週の予告の通り、鹿島茂は若者の内向き指向について議論を続ける。ちなみに先週のお話しとはこういうもの:
Letter from Yochomachi: 「男が”内ごもり”になるのは自然の傾向」(鹿島茂)

この続きが今日の日経夕刊(以下)。ふむふむ、なかなか面白い。

曰く:
  1. 「内向き」現象は、二段階の変化による。一つは、1975年代から生じた大学生の質的変化。もうひとつは90年代のバブル崩壊以降の社会の変化。とりあえず前者について論じる。
  2. 明治の開国で、大衆は舶来品を有り難がっただけだったが、高等教育を受けた階層は例外なく欧米の文化を一つの規範として受け入れた。教育を介して「知」の過程にアクセスすることで、彼らの心の中に「遠方指向性」が生まれたからだ。
  3. これが1975年頃まで続いた。ところが団塊の世代が大学を卒業し終わった頃から、地滑り的変化が生じた。外国のモノ、とりわけブランド品が街に溢れるのに反比例して外国文化への興味が失われた。
  4. 知的エリートであるはずの大学生が、遠方指向性を特徴とする知的上昇の過程に入ることなく、子供時代の延長として「モノ」を愛するようになったからだ。男子においてはオタク化現象、女子においてはブランド品愛好となってあらわれた。
  5. 学園紛争に懲りた文部省が、大学を郊外に移し、学生を無菌化し、社会との接点を失わせ、「君はそういう余計なことを考えなくていいよ」と呼びかけ、大学生の知的過程への参入機会を消滅させ、必然的に遠方指向性をなくし、外文系への無関心を生じさせたからである。
  6. しかし、それはまだまだほんの序曲にしか過ぎなかったのである。

おやおや、まだ続くらしい。これは楽しみ。

0 件のコメント: